SENSATIONAL Design谷口謙吾 自叙伝

カナオ11 昼下がりの常事

1章

カナオ…

聞き覚えのある名前だが、なにか薄い膜が張ったかのようにぼんやりしてて
思い出せない。
あの娘は…どこかでなんらかの記憶の中で見た事のある娘だ。

大阪で?福岡?東京??
いや、
東京の地下アイドルかなにかじゃなかったか?

東京地下アイドルって実際、あまり見た事なんてないが
この前、ググッてみたら意外にイケてて可愛い。

そんな、感じの娘がカナオだ…

カノオの見た感じ

バランスの良いしなやかな筋肉の付き方をしてて、
何かのスポーツをしていたのなら、
それは一流を思わせるようなバランスの良い身体付きをしていた。

髪やスタイルは、東京地下アイドルスタイルそのままで
ロングの髪に細くて白い手足がとてもよく似合って
いた。

メイクはと言えば、目の周りは赤に統一して
細い目を際立たせるかのようなアジアンチックな メイク。

もう一度言うが、体型は、長身スリムで色も透き通るように白い。

まるで、カモシカや小鹿を連想させるような娘だ。

その娘とどうやって話をするようになったか、話しかけてみたキッカケと言うのが
その赤いメイクの話しからだった。

何回か、何回かその彼女が働くコンビニで顔を合わせ挨拶をしたり
短い世間話程度の会話をした。

彼女は、決まった曜日の、決まった時間に出勤する率が高かった。

時として、違う日の午前中にも現れては
ドキッ!とさせてくれるのだが
心の準備が出来てないこちらからすれば
いい迷惑である。

そんなこんなで、とにかく
カナオを前にして、とりあえずは目立とうかと考えたわたしは
ある作戦に打って出た。

今、コロナの今どきに1カートンのタバコを買うことだ。
タバコを買うのはどうせのことだ。

どうせ同じ消費の為に買うのであれば
目立った方がお得意様感が出るだろうと言う話だ。

カナオも最初は面食らった顔してワンカートンの
タバコを

他の店員は踏み台を使って取る高さにある
そのタバコを背伸びして取って持ってきてくれた。

買う際には、もちろんだが財布の中にとっておきの一万円札が用意してある。

何度かそのワンカートンのタバコを買った後の偶然の会話だった気がする。

カナオに『そのメイクいいですね!』とレジの
会計を済ませた後に一言だけわたしは
言い放ってみたのだった。

つづく

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