SENSATIONAL Design谷口謙吾 自叙伝

カナオ11 11章 バレンタインの午後

久しぶり、ここ最近そのコンビニを訪れていなかった私だったが、
あまりに色々のことが続いてむしゃくしゃしていた

それなので、いつものコンビニで元気を分けて貰おうとそこに立ち寄った。
店に入るとカナオがいつものように、いつもの手前のレジに立っていた。

度重なるストレスの為、険しい顔をしていたはずのわたしだったが、
彼女の天使のような透き通った横顔を見てわたしの顔はほころんだ。

先にお手洗いを済ませ、店内でいつものお気に入りジャリパンと適当に見繕ったパンをもう一つ
それと、いつものアイスコーヒーを手に取り

タイミングを見計ってカナオのレジに滑り込む。

カナオとは最近、会ってなかったかのように思える。
確か、1ヶ月近くはすれ違いや日々の多忙のため会えずじまいだった。

なぜか、レジの前に立って数秒お互い見合ってしまった。
わたしは、金髪頭のブリーチが2回、3回目でいい感じの金髪に仕上がっていたのと
お気に入りのアクセをバッチリつけて、自分の中ではイケてるはずのオシャレ着、

カナオはと言えば、青のインナーカラーと黒のクレオパトラを思わせるようなボブカットから
今は、その少し伸びたボブから金髪と明るい茶色のグラデーションがかったインナーカラーに
身を包んで、化粧も赤いシャドーからカーキから黄色がかったシャドーでバッチリメイクしていた。

 

彼女もわたしがつけている薬指の結婚指輪に気づいていたし
わたしも彼女に名刺を渡している以上は父子家庭だという素性は知っていた。

外に出て、社用車に乗り込み、倉木麻衣の『FEEL FINE』を
カーステレオで流していると、コンビニ店員さん同士の会話で

『あれ、ジュークボックスでしょ!ジュークボックスでしょ!笑笑』
などと言う話し声が聞こえていた。

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